壁面緑化とは?壁面緑化の概要や注目理由、得られる効果について解説

壁面緑化についてや、注目されている理由について解説しています。また、得られる効果なども詳しく解説しています。温暖化対策だけでなく、企業にとっても良いことが多いので、ぜひご一読ください。

近年、街中でもよく見かけられるようになった「壁面緑化」をご存知でしょうか。この壁面緑化については「気温上昇の防止効果」程度しか知られていませんが、実はもっと広い効果が得られることが分かっています。今回はそんな「壁面緑化」で得られる効果などについて、詳しく解説していきます。

壁面緑化とは

壁面緑化とは、その名の通り「建物の壁を植物でおおうこと」をさします。「緑のカーテンのこと?」と思われる方がいるかもしれませんが、似て非なるものです。壁面緑化を行う方法や植物は多種多様であり「雰囲気の演出効果」としても用いられます。

そのため、インテリアとして壁面緑化をする人もおり、DIYでも制作可能なことから、自宅や店舗を問わず人気を博しています。また、前述の通り、様々な効果が得られるため、壁面緑化を採用する施設やお店が増えています。その他に「オブジェ」として使われることもあり、その利用目的は様々です。

壁面緑化には種類がある

上記で「壁面緑化を行う方法や植物は多種多様」と記載した通り「壁面緑化」には多くの種類があります。その中でも、よく見かけられるものは「登はん型」と呼ばれるタイプです。簡単に説明すると「壁ぎわで植物を成長させ、壁をつたわせて大きくおおう」というものです。その際には、壁に
・ネット
・ワイヤー
などといった「植物をつたわせるための何か」を設置する必要がありますが、ほかに必要なのは「植物の管理」のみであるため、比較的簡単に壁面緑化が完成します。

そのほかには
・下垂型
・ユニット型
と呼ばれるタイプもあります。簡単に解説します。

下垂型

「登はん型」とは真逆のタイプで「登らせる」ではなく「垂らす」というタイプの壁面緑化になります。一般的なやり方は「壁の上部から、シダ類の植物などを垂らしていく」というものです。

ユニット型

こちらは上記2種とは趣向が異なるタイプで「パネル型に、育てた植物をはめ込んでいく」という壁面緑化になります。そのため「変化が楽しめる」と人気があります。

以上3種は一例であり、壁面緑化には植物の組み合わせや、やり方によってかなりの種類が存在します。壁の形や面積、コンセプトなどのニーズに合わせて様々なデザインがあるため、好みのタイプを探してみてください。

壁面緑化に使用される植物の種類

壁面緑化で使用される植物として代表的なのは
・ ヘデラ・ヘリックス
・ ヘデラ・カナリエンシス
などです。これらは「ツルの伸びやすい植物」であるため、壁面緑化に適しており、街路樹周辺でもよく見られます。通称は「アイビー」であり「ヘデラ」とも呼ばれます。ヘデラには「品種が多い」という特徴があり、品種によって
・葉の色
・葉の色の濃さ
などが異なるため、季節によって使う品種を変えるところもあります。「同じ品種でも、まったく違う雰囲気が作れる」と人気があるのも特徴です。また、朝顔やゴーヤといった別の植物をつるす場合もあり、好みの花や植物を使うことができます。

さらに、壁面緑化には「つるすやり方」だけでなく
・プランターを積み重ねることで壁面をつくる
・コケを壁に繁殖させる
などといったやり方もあるため、つるがあまりない植物も使用することが可能です。ただし
・壁の高さ
・日差しの強さ
など、条件によっては「使用不可な植物」もあるため、一度施工業者に確認してみてください。また、DIYの際は種子を買う時に、お店で確認することをおすすめします。

壁面緑化が注目されている理由

壁面緑化が注目されている理由は主に
・地球温暖化の対策になるから
・都市の緑を増やすことが出来るから
・建物のイメージアップにつながるから
以上の3つです。順に解説していきます。

地球温暖化の対策になるから

近年では
・二酸化炭素の削減策
・ヒートアイランド現象の対策
など「地球温暖化」に関連する対策が世界的に関心を集めています。そのため、世界的に見ても建物の壁面や、屋上の緑化が注目され始めています。

都市の緑を増やすことが出来るから

現代では都市のアスファルト舗装や、コンクリート化が進み、緑視率と呼ばれる「視界に入る緑の割合」が激減していることが問題視されています。そのため、壁面緑化は美しい都市空間や、緑豊かな生活空間を形成できる、と注目されているわけです。また、植物にはヒーリング効果があるとされており、安らぎを与える効果にも期待ができます。

建物のイメージアップにつながるから

質の高い緑化空間を形成できた場合には「建物のイメージアップ効果」が見られ、集客力やブランド力の向上に役立つとされています。また、訪れた人々の満足度やリピート率の向上にも期待ができます。

壁面緑化によって得られる効果

壁面緑化によって得られる効果は主に
・空気の浄化効果
・照り返しの緩和効果
・壁面の劣化防止効果
以上の3つです。順に解説していきます。

空気の浄化効果

近年、あらゆる分野で工業化が進んでいるため、都市部では工場や自動車などの排煙が「大気汚染の原因となる」として問題になっています。その「汚染された大気の浄化」に大きく貢献するのが壁面緑化です。

壁面緑化をすることで、上記の排煙などに含まれる大気汚染物質、「二酸化窒素」の濃度を減らすことができ、空気の浄化効果に期待ができます。二酸化窒素は人体に有害で、呼吸器疾患の原因となる物質です。そのため、世界的にも壁面緑化に取り組む動きが増えてきています。

照り返しの緩和効果

壁面緑化には「照り返しを緩和する効果」に加え「都市部の気温上昇を抑える効果」が期待できるとされています。近年、先進国を中心に路地や、都市がコンクリート造になっているため、日光の照り返しが強くなってきており、小さな子どもやお年寄りの熱中症が増えてきています。また、郊外に比べ、都市部には高層ビルや住宅などが密集しているため、上記の照り返しにより、気温が高くなりやすいです。

この原因のひとつが、アスファルトやコンクリートなどに代表される「人工被覆」です。この人口被膜に、表面温度を下げる効果のある「緑」をかぶせることによって、照り返しの緩和や、気温上昇の緩和に期待ができます。一説によれば、壁面緑化によって「コンクリートなどの表面温度が約4.9度下がる」とされています。

また、植物の葉に含まれる色素「アントシアニン」が紫外線を吸収してくれるため「紫外線予防」にもつながります。

壁面の劣化防止効果

壁面が劣化する原因には
・酸性雨
・紫外線
などが挙げられます。そのため、これらが壁面のコンクリートにあたらないようにすれば、劣化は防止できます。壁面緑化をすることで、前述した通り「紫外線防止」が可能なうえ、葉やつるが雨の受け皿となるため、劣化の軽減に一役買うとされています。また、ある調査によれば、緑化された下のコンクリートは18年経った後も、劣化がほぼなかったそうです。

まとめ

壁面緑化で得られる効果などについては、お分かりいただけたでしょうか。壁面緑化は地球だけでなく、働く人や地域の人、企業にもメリットがあります。見た目も華やかになりますので、これを機に興味が増した方はぜひ検討してみてください。